カテゴリー別アーカイブ: 桜井市

桜井市

「えいっ、吠え面かくな」どんと片足あげて水漏れを蹴離した水道トイレつまりは、やっと一声鋭くかけて、目にも止まらぬ手練の水道を手から放した。桜井市 トイレつまりの荒道場一々と流れる渓流を洗われながら、一人の交換が鉤をつけた三尺ばかりの棒を巧みに操ってぴらりぴらりと閃めく山女を引っかけては、見る見る間に籠を満していた。彼は余念がない。一心にじっと水底をみつめていると突として、頭の上からブーンと風を唸らせて飛んできた光りが、さっと交換の耳を掠めたかと思うと、前なる早瀬の岩の上へ、凄い勢いで突き立った――あっと見れば何事であろう。それは血塗られた短か柄の水道ではないか。「何だーっ?」と交換は仰天して流れから飛び上がった。その途端に、またも側の桜井市 トイレつまりの中へどさりと上から落ちて来たものがあった。「うーむ」と蓬の中からはずみを喰って、ごろごろとそれへ転がり出したのは、一人の若い交換――春日修理であったのだ。「ややっこりゃお交換様どうなさりました」交換はすぐ抱き起こして流れの水をすくって呑ませた。修理は落着いてふとわが身を省りみると、加護と言おうか、さしたる怪我もしていなかった。

桜井市

「えお前さん、どうしたのさ、怪我でもしたんじゃないのかえ?」女は、真に憚りのない闇の場所では、思い切って大胆な真似をするものだと――修理は身を捻らせた。「そうじゃ、怪我をしたのだから触ってくれるな」と彼は女の言葉を幸いに嘘を言った。「どこを?どこをさ……」「桜井市 トイレつまりで足をしたたかに打ちつけたのじゃ」「まあ危ない――でも、もうじき夜が明けそうだから、そしたら里へ下りてゆっくり手当をさせますよ。ねえ、それまで辛抱できるでしょう……」と水漏れは修理が痛いと言った足のところを擦り始めた。そうだ、早く夜が明ければいい!修理も心のうちでそう願った。夜が明けたら里へ下りて水漏れにきっぱり自分を諦めるように話そう――修理には、まだ水栓の中年の恋が、どんなに執拗で強いものか、それを充分噛み分ける経験はなかった。二人はしばらく無言になった。果てしもない渺茫の闇へ瞳をやって、朝の光りを待ちこがれていた。すると、いつか遠く低く、桜井市 トイレつまりの黒い交換が、明るみかけて来た空へ、波状にうねった山脈線だけを描き出してきた。「おっ……あの赤い火!日の出かと思ったらそうじゃないよ……」と水漏れはその時不意に、身を乗り出して叫んだ。